水環境保全のための生物学
 須藤 隆一編著
  小浜 暁子  稲森 悠平  徐 開欽  李 玉友  秋葉 道宏  金 主鉉  藤本 尚志 著
  定価 5 040円(税込)/A5判270頁 送料実費

レビュー
編著者須藤隆一氏からの内容紹介
 21世紀は 「水の世紀」といわれている。石油の時代であった20世紀とは異なり 環境 とくに水が万物の霊長であるヒトはもちろん あらゆる生物を支配する要因になる。産業革命以降 石油をエネルギー源として大規模工業社会を構築させ 20世紀末には豊かな工業社会が極致に達した。ヒトによる豊かさの追求の結果として 大量生産 大量消費 大量廃棄の社会を迎え 一時の危機的な公害は免れたものの 環境破壊はますます多様化・広域化し 地球規模での水やエネルギーの枯渇 環境への汚濁負荷の増大が人類の滅亡を招きかねない状況にある。

ヒトも生物も体の60〜90%程度は水であり 水のないところでは生活できない。日本人は平均して毎日200Lの用水を使い それと同等の排水を捨てている。人口も少なく用水量も少なかった時代には 排水は土壌や河川の自然浄化作用で浄化されていたので 水処理を施さなくても身近な場で良質な用水を確保することができた。しかし 汚濁負荷量の増大に伴って 用水も排水も処理せざるを得なくなり 19世紀末頃から多くの用廃水処理技術が開発されている。水は生態系の主要な構成要素であって 独立して存在していることは少なく しかも量が多いために 自然浄化作用を強化した処理法である生物処理が発展してきた。

本書はこのような背景のもとで 水環境分野の生物処理と呼ばれる多くのプロセスの生物学側面についてまとめたものである。編著者は20数年前に「廃水処理 の生物学」を出版したが 専門的すぎて読みにくいこと 最近の知見が含まれていないことなどがあり 現状では相応しくない記述もみられる。このため 新たに章毎に専門の研究者に執筆をお願いし 浄水分野も含めて簡潔に書き改めたのが本書である。

本書が水環境保全に取り組んでおられる技術者・研究者・行政関係者はもとより 学生や一般の市民の方にも広く読んでいただき 水環境の再生にいささかでも役立てていただけるならば 編著者として望外の喜びである。
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